公式記録・観戦記

1999 Jリーグ ディビジョン2 第22節

1999/8/21 18:00キックオフ 仙台スタジアム
[入場者数]6,401人 [天候]晴、弱風、27.0℃/79% [ピッチ]全面良芝、乾燥 [試合時間]90分

ベガルタ仙台 2(0−0)
(2−1)
1 大宮アルディージャ
62分:財前
76分:瀬川
得点60分:磯山

高橋 範夫GK白井 淳

斎藤 克幸
ドゥバイッチ
山路 嘉人
渡辺 佳孝
DF氏家 英行
斎藤 雅人
奥野 誠一郎
岡本 隆吾

千葉 直樹
ニクソン
エンリケ
(反スポーツ)財前 宣之
MF岩瀬 健
浮氣 哲郎
マーク(異議)
原崎 政人

中村 学
平 聡
FW磯山 和司
小阪 昭典

大崎 常喜(GK)
中島 浩司(DF)
越後 和男(MF)
瀬川 誠(MF)
高田 純(FW)
SUB渡辺 英豊(GK)
上村 祐司(DF)
横山 雄次
平本 大介(FW)
岡山 一成(FW)

中村→瀬川[62分]
平→高田[62分]
千葉(直)→越後[81分]
交代[81分]岡元→上村
[83分]浮氣→平本




観戦記


前節の対甲府戦で、長かった連敗もようやく止まった。清水体制なってから2回目のホームゲーム、第22節:対大宮アルディージャ戦。今日こそはホーム初勝利で連勝と行きたいところ。

先発は上記の通り。御厨がいないのがやや痛いが、その他は特に大きな変化はない。

前半開始早々、エンリケが個人技で突破してシュートまで持っていく。このプレーが象徴するように、今日のベガルタは気合が入ったプレーを見せてくれた。試合内容は、中盤での争いはほぼ互角(財前、エンリケ、ニクソンとタレントが揃っているから当然と言えば当然だが)、ベガルタのDF陣の方がやや不安定な分(あるいは大宮の2トップが上手かった分)チャンスの数は大宮の方が多かったと思うが、全体的にはほぼ互角に決定的なチャンスを作りあうスリリングな展開で進行する。ベガルタ、大宮ともお互いミスに助けられる面があったが、運が良ければ(悪ければ)両チームとも2、3点づつ得点していてもおかしくなかった。前半は結局両チーム無得点のまま終了。

後半も前半と同様、決定的なチャンスを何度か作りあう展開。しかし徐々にベガルタの方が守備に回る時間が長くなるように感じられた。そして後半15分、左サイドを破られセンタリングを上げられる。これを飛び込んできた磯山に頭で押し込まれて失点。スタジアムの空気が重くなる。

しかし、今日のベガルタは一味違った。後半17分、高橋の長いGKを平が競り合いながら頭で落とす。これを拾った財前がDFラインを抜け出しGKと一対一に。これをきっちり決めて値千金の同点ゴール! スタジアムは大歓声の渦に包まれる。清水監督も飛び出して大喜びしていたのが印象的だった。

この直後、2トップが平&中村から瀬川&高田に交替(といっても、交替そのものは財前の得点前に準備されていたのだが)。同点に追いついてからはスタジアムの応援もヒートアップ。これに乗ってベガルタがやや優勢の展開になる。そして後半31分、自陣ペナルティエリア付近からエンリケが前線へロングパス。これを受けた瀬川がスピードに乗って独走。強引に切り込んで放ったシュートが決まってついに逆転! 場内は総立ち、大興奮。

この後は大宮の必死の反撃をベガルタが気合でしのぐといった感じの展開になる。特にロスタイム付近は完全に押されていたが、ほとんど全員守備でなんとか守り抜く。そしてついに試合終了。開幕から約5ヶ月にして、ついに「ベガルタ仙台」としてのホーム初勝利、そして今季初の連勝を飾ることができた。

今回の得点はいずれもカウンターからだったが、中盤からの攻撃の組み立ても、財前、エンリケの加入でかなり形になりつつあり、今後が楽しみだ。特に財前は後半になっても精力的に動き、後半(特に逆転後)のチャンスはほとんど財前が作っていた。今日の試合のMVPを選ぶとしたら、間違いなく財前だろう。
[ボランティア記者:神林]




非常に蒸し暑い仙台スタジアム。
夕焼け空に半月が浮かぶ。
仙台の勝利の予感に集まった人は6400人あまり。

システムは4-4-2、ツートップは平、学。MFには直樹が復帰した。
にもかかわらずキャプテンはドゥバイッチ。
試合開始直後はややボールを支配される。最初の決定機は大宮が迎えるが、仙台も速攻からチャンスを迎える。5分、パウロから平へ絶妙のスルー。惜しくも右に外れたが、徐々にコンビも合ってきているようだ。

DF陣はよしたかが入った4バックだが、前半15分くらいまではクリアミスなど、ややばたばたしている。相手FWを密着マークではなく、ゾーン気味に押さえようとしているようだ。そしてかなり高い位置にラインを保ち、コンパクトなサッカーを意識。
徐々に効果が出始め、相手の中盤に仕事をさせず、大宮はバックラインでボールを回すシーンが目立つ。ただし、何度かオフサイドラインを破られ、危ないシーンも見られた。特に28分、31分のシーンはDF、GKが体を張ってゴール前フリーのピンチを防いだ。のりおの反応も今日は冴えている。

33分、中盤でボールを支配した仙台は、財前から左に流れる学へスルーパス。さらに学が平にスルーを出し、完全にフリーになるが惜しくもGKに阻まれる。その後は一進一退だが、44分には1対1の場面をのりおがファインセーブ。もう少し安定すればかなり見られるコンパクトサッカーになるのだが、其のあたりは今後の課題というところか。

後半は7分まで大宮がボールを支配するもやや膠着状態が続く。その後7分8分と立て続けに平にスルーパスが出るが平が決められない。清水監督もそろそろ変え時か・・・と瀬川と純を用意したところに大宮の速攻。クロスボールを中央からヘディングできれいに決められて0対1。うーん。

と、やや意気消沈したところ、17分、のりおのキックしたボールに平が競る。競り勝って前に出したところ、財前が走りこんでた!!1対1を落ち着いて決めて同点。仙スタでは久々の得点にゴール裏も生気を吹き返した。その後瀬川と純が出てからは財前、パウロとのパス交換が生きてくる。特に時折財前が見せるサイドチェンジやショートパスは絶妙。純、瀬川が次々とチャンスを作る。そして31分、オフサイドぎりぎりで飛び出した瀬川に長いスルーが出て、DF、GKを振り切って決めた!ゴール裏まできて喜びを爆発させる瀬川。仙スタで久々の2得点に、なれないゴール裏も、大旗を広げ損ねるというおまけ付きで?祝福。

その後も仙台が攻勢を強める中、36分に越後が直樹に代わって登場。今まで散々相手にやられてきた憎たらしい交代をこちらがゆっくりとこなし、点をとってもばたばたすることが無い。交代して出てきた越中も、瀬川に絶妙のロングクロスを通すなど元気。ほかの選手も走り負けることが無い。その後は攻められながらも守りきり、仙スタでは去年天皇杯以来の勝利を手にしたのだった。

その後はゴール裏もバックもメインも雄たけびを上げつつ、じっくりと勝利の余韻を噛み締める。それをじっと見つめる清水監督。良かったなあ。空には花火が打ちあがり、満足げにそれを見つめる観客。と、そこに選手のバスが通りかかり、ベガルタコールに包まれる。選手たちも勝利の味を思い出してくれただろうか。

ここからがスタートである。
[ボランティア記者:かば蔵]