公式記録・観戦記

1999 Jリーグ ディビジョン2 第4節

1999/4/4 14:00キックオフ 仙台スタジアム
[入場者数]13,569人 [天候]晴、弱風、12.0℃/34% [ピッチ]全面良芝、乾燥 [試合時間]120分

ベガルタ仙台 1(0−0)
(1−1)
(0−0)
(0−0)
1 コンサドーレ札幌
55分:高田得点59分:吉原

石川 研GK佐藤 洋平

(反スポーツ)山路 嘉人
ドゥバイッチ
(ラフ)渡辺 佳孝
DF田渕 龍二(遅延)
埜下 荘司
名塚 善寛
黄川田 賢司

(反スポーツ)千葉 直樹
ニクソン
斎藤 克幸
御厨 景
越後 和男
MF栗田 泰次郎(ラフ)
深川 友貴
棚田 伸
アシス(ラフ)

高田 純
阿部 良則
FW河村 優
吉原 宏太(反スポーツ)

高橋 範夫(GK)
花山 英二(DF)
千葉 泰伸(MF)
中島 浩司(MF)
瀬川 誠(FW)
SUB加藤 竜二(GK)
大野 貴史(DF)
クレーベル(MF)
村田 達哉(MF)
関 浩二(FW)(ラフ)

高田→瀬川[59分]
斎藤→中島[70分]
越後→千葉(泰)[89分]
交代[60分]河村→関
[90分]黄川田→大野




予報では寒いはずだったのだが、フタをあければ4月にふさわしい暖かな日となった対札幌戦。
J2最大のスター、岡田監督の登場ということもあってか、スタジアムには約1万4千人のサポーターが集まった。
市民後援会が準備したビブスも完配で、スタジアムはアウェイ側ゴール裏を除き、ベガルタゴールドに染まった。
前節は延長Vゴール勝ちで初勝利を収めたベガルタ。
この最高の雰囲気の中、ホーム初勝利で連勝、といきたいところだが…

先発は上記の通りで、以前のホームゲーム2戦とはやや異なった顔ぶれとなった。
負傷のドゥバイッチが復帰したのは嬉しいところ。

試合は前半開始早々、阿部が札幌側のパスをカットしてシュートする。
これはある意味では前半のベガルタの攻撃を象徴するシーンだった。
ベガルタはボールへの寄せが早く、ボールを拾う率が以前の2試合と比べてかなり高い。
パスもよくつながる。
一方、札幌はかなり調子が悪いらしく、しばしばパスをカットされてピンチを招く(=ベガルタがチャンスを作る)展開。
前半15分あたりまでは圧倒的にベガルタが押していた。
そして前半20分過ぎ、阿部からパスを受けた越後がGKとほとんど一対一の場面を作る。 が、シュートは枠を外れる。(これ以後、この試合では似たような場面が再三にわたって繰り広げられることになる …)

札幌にも徐々に攻撃のチャンスが増えるのだが、やはり全体的にはベガルタペース。
札幌は前半30分過ぎ、札幌陣内深くからのロングボールを受けたFW吉原があっという間にゴールを決めるという、絵に描いたようなカウンターアタックを見せたのだが、これはハンドで幻ゴール。
(このプレーは、手でボールを扱いシュートまで持っていったという事で、反スポーツ的行為でイエローカード)
これが前半における札幌唯一の見せ場と言っていいほど、ベガルタは押していた。

しかし、しかしベガルタはゴールを決められなかった。札幌相手に、あまりにも簡単にゴール付近までせまれてしまうことに対して、選手が戸惑っているのではないかと思えるほどに(笑)、フィニッシュがお粗末。
最後をきちんと決められれば2、3点とれてもおかしくない展開だった。

結局0対0のまま前半終了。あれだけのチャンスを1回も決められなかったことに一抹の不安を覚えるが、まあ贅沢な悩みだと思うことにする。(しかし、この不安は適中した。)

後半は、開始から札幌が攻勢に出る。
前半寝ぼけていたのがようやく目を覚ました感じ。
やや押され気味の展開だが、ベガルタもいいチャンスを作る。
そして後半10分、阿部がペナルティエリア内で粘りに粘ってシュート、GKが弾いたところを高田が押し込んで先制ゴール!
スタジアムは大歓声に包まれる。

しかし、さすがは札幌というべきか、怒涛の攻勢に出る。
ベガルタ陣内で延々ボールが回される嫌な展開の中から、左サイドにスキができシュートを受ける。
これは危うく外れるかに見えたが、そこに飛び込んできた吉原に押し込まれてゴールを決められる。
これが後半14分。得点から5分もしないうちに同点に…

失点直後、高田に替えて瀬川を投入。
その瀬川、動きはなかなか良く、スピードを生かしてたびたびチャンスを作るが、得点には至らず。
同点になってからは、一進一退の激しい攻防が続く。
両チームとも決定的なチャンスがあったのだが、ベガルタのシュートはポストに嫌われ、札幌のシュートは石川がファインセーブで切り抜ける。(今日の石川は素晴らしいプレーを連発した。)
結局同点のままロスタイムへ。
3分のロスタイムの間にベガルタは2度のチャンスを作るが決められず、2試合連続の延長戦へ。

延長戦は、全体的にはベガルタが押していた。
瀬川がスピードを生かした突破で、2度ほどGKと一対一の場面を作り、あるいは絶妙のセンタリングを上げたりもしたのだが、全部失敗。
シュート数も札幌よりは多いのだが、打てども打てども入らない。

延長戦、スピードが売りのFWがチャンスを作るがなかなか決められない、というのは2年ほど前に岡田監督の目の前で繰り広げられた光景を連想させる(笑)。
その時は、そのFWが最後の最後に決めてくれたのだが…

そしてついにその時が来た。
延長戦後半ロスタイム、右サイドからのクロスボールを受けた瀬川がボレーシュート! ふかし気味に見えたボールは沈み込み、ゴールへ…

ところが何とボールはクロスバーを直撃! おそらくこの日最大の悲鳴がスタジアムにこだまする… 結局このまま延長戦終了。
ベガルタ初の引き分け試合となった。

ベガルタはフィニッシュの精度に大きな問題点を残すことになった。
おそらく、この試合は勝てた試合だったろう。
その点からすると不満の残る試合ではある。
ただ、120分間最後まで目の離せない大熱戦だった。
スタジアムを訪れた約1万4千人のサポーターも、おそらく満足し、またスタジアムに足を運ぶ気持ちになってくれただろう。
そういう意味では、いい試合だった。
[ボランティア記者:神林]