公式記録・観戦記

2000 Jリーグ ディビジョン2 第20節

2000/06/21 19:00キックオフ 仙台スタジアム
[入場者数] 6,636人 [天候]晴 、弱風、25.0℃/ 68% [ピッチ]全面良芝、乾燥  [試合時間] 90分

ベガルタ仙台 1( 1− 0)
( 0− 0)
0 大分トリニータ
39分:千葉 直樹
得点

高橋 範夫 GK 前川 和也

田沢 浩之
ドゥバイッチ
飯尾 和也
賀谷 英司
DF 村田 一弘
平岡 靖成
吉村 寿洋

千葉 直樹
リカルド
伊藤 卓
平間 智和
MF 山根 巌
ルシアノ
ウィル
瀬戸 春樹

小林 康剛
藤吉 信次
FW 庄司 孝
坂井 浩
竹村 栄哉

石川 研
蓮見 知弘
中島 浩司
財前 宣之
大友 慧
SUB 小山 健二
三木 隆司
金本 圭太
片野坂 知宏
川崎 元気

30 → 13 [ 69分]
19 → 29 [ 74分]
交代 [ 45分] 9 → 18
[ 45分] 20 → 7
[ 72分] 13 → 16

(C2) 蓮見 知弘 [ 71分]
(C4) 藤吉 信次 [ 77分]
(C5) 伊藤 卓 [ 89分]
警告・退場 [ 48分] 吉村 寿洋 (C1)
[ 61分] 平岡 靖成 (C2)


[警告] C1:反スポーツ的行為、C2:ラフプレイ、C3:異議、C4:繰り返しの違反、C5:遅延行為、C6:距離不足、C7:無許可入、C8:無許可去
[退場] S1:著しく不正なプレイ、S2:乱暴な行為、S3:つば吐き、S4:得点機会阻止(手)、S5:得点機会阻止(他)、S6:侮辱、CS:警告2回




観戦記

 千葉直樹、言わずと知れた「不動の」背番号7番。
 だがここ最近の彼は、誰が見ても精彩を欠いていた。ダブルボランチの一角を占めるリカルドが、安定した守備で信頼を勝ち得たのとは対照的に、不安げにピッチを迷走する彼に対して、ちらほらと聞こえてくる批判。「いっそのこと、ボランチは一人でいいんじゃないの?」
 しかし清水監督は、それでも直樹を使い続けた。まるで監督だけが、直樹の持つ「何か」に気付いているかのように。
 そして今日、その答えがちょっと見えた気がした。
 戦前の予想に反して、仙台が押し気味に試合を進めていた、前半39分だった。
 それまでも積極的にミドルシュートを放っていた直樹の前方に、またもシュートコースが広がる。慌ててチェックに入るディフェンダー。しかし今日の直樹は冷静だった。シュートフェイントでチェックのタイミングを外して、改めてシュート。狙い澄ましたミドルは、地を這うような弾道を描いて、大分GK前川の手をかすめてファーサイドに突き刺さる。直樹にとって97年以来のゴールは、格上の大分相手に貴重な先制ゴールとなった。
 さらに今日の直樹はそれだけではない。大分の要注意人物だったウィルに、ハードマークを敢行し続けた。完璧に抑えたとは言えなかったが、それでも短気なウィルの気分を害するには十分だった。かくしてウィルは、さほど決定機に絡むでもなく、ゲームから消えていく。
 そうなれば後は、今季初の完封勝ちに興味が集まるが、平日ナイトマッチにもかかわらず詰めかけた6636人の声援に後押しされたか、仙台守備陣の集中は最後までとぎれることがなく、浦和戦で久しぶりのミスを犯したGK高橋も、失われかけた信頼を取り戻す素晴らしいパフォーマンス。今日だけでも、決定的なピンチから仙台を何回救ったことだろう。
 こうして試合はそのまま終了。J2になって初めての直樹のゴールと大分からの勝利、さらには今年初の完封にナイトマッチ勝利と、考えてみれば初めてづくしの勝利は、チームの成長をはっきりと感じることができる、そんな勝利だった。
 なお、期待されていた財前の出場だったが、1点差を守るという緊迫した試合展開もあり、今回の出場は見送られた。
 確かに財前の「復帰」はお預けとなった。が、今日はそれよりちょっと先に、直樹が「復活」した日として、記憶しておこうではないか。少し照れながらMVPのボードを掲げる「背番号7」を見ながら、そう思った。
[ボランティア記者:佐々木]



 昼間は太陽が照りつけじめじめとしていたが、夜が近付くにつれ空気がひんやりとしてきた。大分には昨年から5連敗を喫しているだけに、スタジアムには緊張感が走る。
 今日は待望の財前ベンチ復帰。財前の復帰とチームの勝利を願うかのように、平日でありながら6636人の観客がスタジアムに駆け付けた。前節蓮見の技アリゴールで2点差まで追いついたものの、流れから得点できず不安を覚えたが、その不安をかき消すような試合を披露してくれた。前線の攻撃陣が相手陣内で早いプレスをかけ、中盤でボランチ2人が大分の司令塔ウィルを完封。ディフェンスも高いラインを保つ事によってオフサイドを取り、流れを仙台に引き付けた。パスミスの多くなった大分の隙をつき、中盤からワンタッチで早い攻撃をしかけチャンスを作る。39分、平間からパスを受けた千葉がドリブルで相手選手を交わし、バランスを崩しながらシュート。
 そのボールは低い弾道を描いてゴールマウスへ。千葉のJリーグ初ゴールがチーム全体を更に活気づかせた。その後も攻められてはいるものの安定した守備を維持し、終始主導権を握り続けた。特に終盤のチームプレイは余裕さえ伺え、苦手大分に完封勝利した。
[ボランティア記者:高本]