公式記録・観戦記

2000 Jリーグ ディビジョン2 第5節

2000/4/2 13:33キックオフ 仙台スタジアム
[入場者数]6,308人 [天候]晴、中風、12.6℃/20% [ピッチ]全面良芝、乾燥 [試合時間]90分

ベガルタ仙台 1(0−1)
(1−1)
2 コンサドーレ札幌
55分:小林得点36分:黄川田
60分:エメルソン

石川 研GK佐藤 洋平

斎藤 克幸
リカルド
飯尾 和也
賀谷 英司
DF森 秀昭(反スポーツ)
古川 毅
大森 健作

千葉 直樹
中島 浩司
蓮見 知弘
平間 智和
MF田渕 龍二
野々村 芳和
ビジュ(反スポーツ)
伊藤 優津樹(異議)
アウミール

小林 康剛
藤吉 信次
FWエメルソン
黄川田 賢司

高橋 範夫(GK)
山路 嘉人(DF)
中村 学(MF)
瀬川 誠(MF)
大友 慧(FW)
SUB藤ヶ谷 陽介(GK)
大野 貴史(DF)
村田 達哉(MF)
池内 友彦(MF)
深川 友貴(FW)

蓮見→中村[62分]
中島→大友[67分]
交代[61分]伊藤→池内
[61分]黄川田→深川




観戦記


 前節の甲府戦に敗れ、ついに開幕4連敗となったベガルタ。中2日で迎える相手、コンサドーレ札幌はここまで無失点で3連勝(札幌は1試合少ない)と絶好調、手強い相手だ。
 前半は試合開始早々から札幌に攻め込まれる。札幌はフィジカル、個人技、組織とも強力で、スピードのある攻撃は非常に怖い(去年よりは確実に強くなった印象を受けた)。しかし、序盤の危険な時間帯を切り抜けると、押され気味ではあるもののベガルタも徐々に攻撃の形を作れるようになる。26分には藤吉がゴールを挙げるが、これはオフサイドで幻に。試合が動いたのは前半36分、ディフェンスがルーズになった時間帯に左サイドを破られ、札幌のMF黄川田にヘッドを叩き込まれて先制を許す。その後も何度か決定的なピンチを招いたが、何とか1失点で切り抜けた。特に決定的なチャンスを二度、体をはって防いだ飯尾は印象に残った。
 後半も札幌優勢ながら、ベガルタもいい形を何度か作るという展開。そして後半10分、藤吉がスルーパス、札幌のDFラインをうまく抜け出した小林が追いついてGKと一対一。これをきっちり決めて同点ゴール! スタジアムは興奮のるつぼに。
 さて、ここからどう試合をひっくり返すか、期待は高まったのだが… 同点ゴールの興奮冷めやらぬ後半15分、コーナーキックからエメルソンに押し込まれて再び失点。この場面は完全に相手に振り回されてしまった。ここのところコーナーからの失点が多かっただけに悔やまれる。
 再び勝ち越されてからは、激しく好守が入れ替わるスリリングな展開(前々節の鳥栖戦のバタバタさ加減に比べると内容はかなり良かった)。ベガルタも何度かチャンスを作るが、得点できず試合終了。ついに開幕5連敗となった。
 敗れはしたものの、攻撃の形は前回のホームゲーム(鳥栖戦)に比べるとかなり上向いてきた。中盤でのボールの繋ぎは向上してきたし、小林、平間をはじめボールを持てる選手が増えたことで、攻撃が粘り強くなった。今回仙台スタジアム初登場となった大友のスピードも魅力的だ。しかし、中盤でボールを持った時の球出しの判断の遅さはやはり気になる。特に今回のようにフィジカル、個人技が優れた相手の場合、パスの相手を探しているうちに競り負けてボールを奪われるとピンチに直結してしまう。しかし、チームはわずかずつだが確実に向上している。今後に期待したい。
[ボランティア記者:神林]




 仙台、開幕からまさかの4連敗。方や札幌は一試合少ないとはいえ、無失点での3連勝。前節、甲府に何もできなかった仙台に、わずかでも勝算はあるのか。昨年札幌相手にはホームで負けていないというデータすら、かすんでしまうような状況の中、試合は始まった。
 ところが蓋を開けてみると、仙台は互角以上の戦いを演じる。立ち上がりこそ、立て続けにフリーでシュートを浴びるものの、その後は目下絶好調の蓮見を絡めたカウンターで、札幌ゴールを脅かす。前節までシュートが少なかったことの反省からか、小林も角度の無いところからシュートを放ち、果ては賀谷までが、積極的にミドルシュートを試みる。
 そして前半28分、中盤でパスをカットした中島から右サイドの小林に渡り、グラウンダーで中央へ折り返した先に待っていた藤吉がゴールに蹴りこむが、これはオフサイド。藤吉の初ゴールはまたもお預けだ。
 このように、流れは仙台にあると言っても過言ではなかった。が…前半36分である。「俺をフリーにするとこうなるのさ」と言わんばかりの田渕のクロスが、慌ててマークについた賀谷の足先をすり抜け、黄川田の頭にピタリと合った。ボールは為す術のない石川を破って、ネットに吸い込まれる。札幌、先制。
 しかし今日の仙台は崩れなかった。エメルソンにカウンターで独走されようが、田渕に強烈なミドルシュートを打たれようが、イレブンから「点を取りに行く姿勢」が消えることはなかった。
 それがサポの願いとともに、後半10分に報われる。札幌DFラインのど真ん中を切り裂くスルーパス(おそらくここにいた誰もが、一瞬オフサイドを疑っただろう)に、小林が抜け出した。息をのむ一瞬、GKをよく見て…ゴール右隅に流し込む!貴重な同点ゴールは、小林の仙台での初ゴール。しかも札幌の今期初失点というおまけ付きである。
 ますます勢いづく仙台。その一方、札幌は少なからずこの失点に動揺していた。その証拠にビジュがこの直後、審判への執拗な抗議によって、警告を受けている。
 今考えると、そこにつけ込めば逆転も可能だったのかもしれない。しかしその後の仙台に顔を出したのは、相手の同様につけ込む老獪さではなく、得点直後に気が緩んでしまう幼さだった。
 同点ゴールからわずか5分後、札幌はCKを得る。ファーポストからの折り返しに、エメルソンが身体ごと飛び込む。ボールはこぼれるようにゴールの中へ。あっけない勝ち越しゴールとなってしまった。それまで対峙する度に、何とかエメルソンを抑えていた飯尾にとっては、悔やみきれないゴールだろう。
 その後は両チームとも、選手を細かく入れ替える。仙台は中村、そして大友を投入するが、エメルソンのスピードに攻めを託し、逃げにまわった札幌を狼狽させるとまではいかなく、平間が何度かペナルティエリアで倒されるも、ホイッスルが鳴るまでには至らない。そして、2分にしてはやけに長いロスタイムの後、タイムアップを迎えた。
 しかし試合の勝敗はさておき、今日のような内容を続けていけば、仙台がこの先も低迷するとは考えられない。時折顔を出す幼さはいただけないが、明らかに仙台がゲームを支配している時間もあったのだ。
 確かに開幕5連敗は、チームにとってもサポにとっても、厳しいものがある。だが、悲観するのはまだ早いと思っているのは、私だけではないはずである。
[ボランティア記者:佐々木]